(続)海の音

雑念のメモ

日曜日

あの時なぜ反論しなかったのか、あの時なぜ諾としてしまったのか、等といくつかの選択されずに葬り去られた人生達について朝から何時間も同じ場所に座り込んで考えていた。着替えることも食事も取ることも忘れたというか逃してしまい、我に返り戸棚を探って買った覚えのない厚切りポテトチップス薄塩味を発見、是を一気食いした後、猛烈な勢いで家事を完遂、した風にした。出かけていた家族が帰宅すると何事もなかったかのような顔で晩御飯を食べ風呂に入り布団に潜った途端、また「なかった人生回顧ゲーム」が脳内で始まり明日からの営みに対して自分でもよく分からない虚無感が湧き、押し潰されそうになっていたところ、居間から一人でテレビを観ている家族の甲高い笑い声が二度三度と聞こえてきて、その声があまりにも嫌な感じだったので同じ人間だからと言って理解し合えるものではないことを確信した。やはり間違っていた。でも君、隣で小さく寝息を立てて寝ている、今日も可愛いね好きだよずーっと一緒にいようね(んな訳ないが)と言ってくれた君だけはミサイルが飛んできて世界が終わろうとしても守り抜きたいという一握の意思が孤独の中で揺らめいて明日に繋がっている、ような。