(続)海の音

雑念のメモ

チャンキー前田

チャンキーヒールという単語を初めて知った途端、「チャンキー前田」という架空の人物が頭の中に出現した。
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チャンキー前田は腹話術人形のふくちゃんと暮らしていて性格は比較的明るいが友達はいない。好物は草餅。海外でイルカと泳ぐことが夢。
 
チャンキー前田は小3の時に受けた交通安全教室の腹話術に衝撃を受けたのをきっかけに腹話術師を志す。ただそれだけでは生計が立てられないので書店でアルバイトをしている。休憩中に旅行雑誌を眺めていたら店長に鼻で笑われて以来店長に積極的に夢の話をするのを辞めた。先週店長主催の飲み会があったがカメの餌やりで忙しいという理由で断った。カメは飼っていない。彼の好きな芸人「味噌漬☆パラダイス」の深夜ラジオを愛聴しているが投稿は一度も採用されたことがない。ラジオネームは「草もち男」。
 
店長に理不尽なことで怒られた日の夜、愚痴を漏らすとふくちゃんは「まあそんな日もあるよね」と明るく慰めてくれた。チャンキー前田はアパートのベランダからふくちゃんと二人で雲に半分隠れた月を眺め、Amazonプライムで発注した好きな漫画の新刊の不在票を握りしめて泣いた。「ふくちゃん、明日からもがんばろうね」「うん君は天才!えらい!あははははは」
 
明日は早番。マキちゃんがいる日。江の島水族館のお土産を渡すんだ。