(続)海の音

雑念のメモ

MUTEKI弾き語りツアー 大阪公演(2017.12.22)

年末に書くだけ書いて放置していた…

 

12月22日金曜日、会社を休んで大森靖子さんのMUTEKI弾き語りツアー大阪公演に行った。当日、朝から息子と二人で実家に帰り、昼過ぎに難波へ向けて出発した。梅田に着くと昔家族でよく行ったジューススタンドがあるのを確認するなどノスタルジーに浸りつつ周辺をフラフラした。懐かしさに浸っていたら開場時間が近づいたので、地下鉄に乗った。難波はよく知っている街だと思っていたが久しぶりすぎて駅を降りた瞬間地下でも地上でも迷ってしまい自分がどこを歩いているか分からなくなった。スマホの画面上で現在位置を示す丸印が目的地の千日前ユニバースから遠のいたり近づいたりするのを見てドキドキしながら難波の喧噪を早歩きで通り抜けた。彷徨った挙句やっと「味園ユニバース」と書かれた青と赤に光る看板とライブの入場を待つ人だかりを見つけた時は天国に辿り着いたような気持ちだった。会場の前で偶然何人か知っている人に会ってほっとした。自分の番号が来て入場した。会場は想像以上に煌びやかで煙草の匂いがし昭和のクラブとして使われていた時の名残りがまだちゃんと残っていた。来る前に見ていた会場写真やいつかテレビで観たことのある4-5人掛けの赤いラウンジソファがいくつも並んでいて興奮した。実際のステージではなく真ん中にいくつもマイクが設置されていて大森さんは今日ここで歌んだなとすぐに分かった。実際のステージには観客が座れるよう椅子が並べられていた。その前には座布団が敷かれた席もあった。色んな席があり迷ったけれどやっぱり昔の人が実際にステージを観て座っていたソファ席がいいなぁと思い、相席できる人もいないけど後ろの方のラウンジソファの真ん中に座らせてもらった。すぐ側ではないけれどステージのネオンがよく見えて大森さんがこちらを向いた時に直線で結ばれるような場所だった。ビールを飲んだりナナちゃんの写真を撮ったり(いつもよりたくさんの人が撮っていた)、知り合いと少し話したりしたがあまり席から動かず会場のネオンやライトをきょろきょろ見回してこれから始まるショーをドキドキしながら待っていた。

まもなく袖から大森さんらしきシルエットが見えたかと思うとブルーのキラキラしたワンピースを着た大森さんが登場されてライブが始まった。いい席に座ることができたからかとても落ち着いてみられたライブだった。「ノスタルジックj-pop」で目が合った時くしゃっと笑ってくれたのが嬉しかった。目が合ったのは気のせいだったかもしれないけど思い込みでもいい。むしろ思い込みぐらいの方がいい。新曲「東京と今日」を初めて聴けたことが嬉しかった。大森さんの声がすうっと天まで伸びて広がっていくような気持ちの良い曲だった。東京に来た時どんな気持ちだったっけと考えていると涙が止まらなかった。大好きなもう一つの新曲「死神」も聴けた。やっぱりいい曲だ。他にも好きな曲や普段あまりやらない曲を聴けてただただ満足だった。あえて合わない曲をとチカチカと派手に点滅させたネオンをバックに歌った「呪いは水色」がとてもよかった。この曲のどろどろとした濃い感情とネオンのチカチカが合っているように私は感じた。アンコールではこの日一番聴きたかった「ハンドメイドホーム」と「少女漫画少年漫画」を聴けて、その前の「相撲」で笑って乾いた涙がまた溢れてきた。終演後は放心状態でしばらく呆然としていた。落ち着いてから会場を出ると飲み屋やラブホテルから放たれるネオンや照明がぎらぎらしていて人がたくさん歩いていて夜なのに昼間のように明るかった。歌舞伎町の明るさとはまた少し違った。現実でないような夢の世界にいるような不思議な心地がした。実家に着いても余韻が抜けずコートを着たまま家族が寝て静まりかえった居間の床に座ってぼんやり今日みた光景を舐めるように思い出していた。今までで一番集中して聴くことができたライブだった。これが今年最後の大森靖子さんのライブとなったけれどそれはそれでよかったかもしれない。一つだけ後悔しているのは会場に辿り行くことで頭がいっぱいになっていて完全に抜けていたが、昭和の古着ワンピースとかサテン生地の服とか、もう少し会場に合った格好をして来ればよかったなぁと後になって考えた。その失敗も良い思い出としておきたい。大森さん、2017年ありがとうございました。