(続)海の音

雑念のメモ

レイチェル

日曜日18時といえばイギリス出身のベニシアさんが京都大原で自給自足の慎ましい生活を送るというEテレ番組をこれまで夕飯を作りながらぼんやり観ていたのだが、終わったのか再放送だったのか、イギリス出身の女の子レイチェルがパリのアパルトマンで料理しながら楽しく暮らす、みたいなBBC制作の番組に変わっていた。レイチェルはおしゃれで可愛くて手際よく、卵とろーりのココットとか肉とかチョコレートケーキとかカロリー高そうで美味しそうな料理が次々とオーブンから出てくる。エプロンは装着せずいつでも真っ赤な口紅をしているのが衛生的にどうなんだろうと一瞬気にかかったが、そんなこと忘れてしまうぐらい番組全体が可愛くてキラキラしている。台所も食器も可愛いし、大さじ小さじは目分量なとことか、日本の一般家庭ではまず使わないような野菜が出てくる感じとか、レイチェルの声のアフレコとかいかにも海外番組らしくてよい。レイチェルは市場で買い物して店主と会話したり、作った料理を食べたりとにかく終始楽しそうで、番組の編集でそう観せているだけだとしても、哀しみとか陰鬱さは一切描かれていない。陽気なBGMが流れる映像を眺めながら美味しそう美味しそうとサイと観ていた。番組が終わって、台所に立って今日ぶつけられた言葉を思い出しながらぼそぼそと野菜を刻んでいるとテレビの向こうにいるレイチェルも私も同じ地球上にいるのにどうして私は毎日こんなに押し潰されそうになっているのだろうって急に醒めてきて、レイチェルみたいに楽しく陽気に暮らす人生でありたかったなって悲しくなった。レイチェルだってカメラのない場所では泣いているかもしれないが少なくとも私よりもずっと自信に満ち溢れていて今を生きている!という表情をしている。あなたも私も同じ人間なのに。ああ幸せになりたい。他力本願かよ。幸せって何なの。いい母親って何なの。教えてレイチェル。