(続)海の音

雑念のメモ

のこったものは地獄だけ

なとなく大学に入り、なんとなく就職して、なんとなく結婚して、なんとなく出産して、思えばずっと何となく生きてきた。多少の意思はあっても意志を持った選択をしてこなかった。振り返れば、周りが驚く程強い意志を持っていたと言えるのは、5歳の時絵を習いたいと言った時と、20歳の時外国へ行きたいと言った時だけだ。その二つの記憶は今も鮮やかに残っている。それに比べて何となく進んできた道は色褪せてぼんやりしている。出産だけは例外で、日々成長していく子どもという未知の存在に毎日驚くほどの前向きさを与えられている。

ただ、それ以外は何だったんだろう。何のために進学し、今の会社に入り、結婚を決めたのかよく分からないしその選択で正かったのか問われると苦い解答しかできない。学校は辞められるし仕事は転職できるけど、結婚はそう簡単にいかない。「やーめた」で辞められない。逃げることが許されない。そもそも、元は赤の他人だった人間と死ぬまで何十年も暮らしていくなんて人生最大の決断ではないか。ということを最近ようやく実感した。阿呆か。阿呆なんだろう。一生のことを諦めるように決めてしまった自分の愚かさ。あることがあり、本当に好きな人と結ばれるなんてお伽話だと知った。それ以降、意識したのかしていないのか希望を殺してきた。意志を持つことを諦めて生きたまま遺棄することで新しい希望に出会える気がした。結果、苦しんでいる。自業自得で袋の鼠。今まで「何となく」を繰り返してきたツケが一気に押し寄せている。いくらでも戻ることができた瞬間があったのにそうしてこなかった。選び取られることなく捨てられた人生にいる私がほれ見ろと笑っている。いや大丈夫まだこれから希望は来るはずだって暗示し続けてきた。でももう自分を騙すことに疲れてしまった。

 

今日は地獄だった。酒癖の悪さ。怒号。サイの怯えた顔。ちゃんと生きてこなかったからこうなった。ごめんね。